スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


カテゴリ:スポンサー広告 | コメント:(-) | トラックバック:(-) | top↑ |

価値とは何か

2012.05.11 Fri
長らくブログを書いていない。
昨年末から展覧会やらプロジェクトやら、いろいろと面白いことに参加させていただいているおかげで、ブログを書く手が止まっている。
ホンマはこれではあかんのやけれど。
3.11の時に書こうと思ったことがあった。
ただ、3.11の時はすごい数のブログが上がるだろうからと思いながら書き掛けたまま放っていたのだが、そろそろここで書こうと思う。
年末、neutronという外苑前のギャラリーで金理有氏の展覧会で、ギャラリー内に茶室を作らせていただいた。
その際に東京画廊の山本豊津さんが来られて、一緒に食事をしながら話していた事がとても興味深かった。
物の価値というのは、材料の原価、クオリティ、コンセプトでできている。材料っていうのは目の前にあってそれそのもので価値を持つ、実だ。
そしてコンセプトは目に見えない虚。現代美術っていうのは特にコンセプトの比重が大きい。
今は社会が皆、実を求めている。だからアパレルも価格が安いファストファッションか、金額に対する見返りが大きいアウトドアファッションを買う。だからコンセプトを打っているアパレルブランドは売れない時代だ。
でも、3.11以降、価値観というものは変わってきているんじゃないかという話になった。
皆が文化など目に見えないものを放棄して家電、家具、車、家といった実を手元に置こうとした。そして地震が起こった。そしたら、自分たちが持っていた実よりも、もっと強大な津波という実が押し寄せて、自分たちが実だと思ってかき集めたものを総てさらって行ってしまった。
そこで皆何かに気付いたのではないか。
自分たちの追い求めた実は、虚だったのではないかと。

今、とても面白いプロジェクトに関わらせていただいている。
とても大きくいってしまうと、海外に日本の文化を移植するプロジェクトだ。
私は昔、数寄屋大工として京都で弟子修業をしていた。
しかし仕事は昔のように多くはない。
それはどの伝統産業もそうだろう。
後に年季明けをして、東京で数年設計事務所で働いたが、担当した物件の大工を見てよく驚いたものだ。
勿論上手い人もいるが、それほどまでに私が見た東京の大工の質は低かった。
数千年前から豊富な森林資源を元に発達し、江戸時代には最高に達した木造の技術が、今この数十年でなくなろうとしている。
劇的な生活様式の変化や、敗戦による設備、流通ルートの崩壊、何より効率のみを優先し、今までの価値観の崩壊などによって、織や、染めや、塗りや彫りや、様々な世界に誇れたであろう技術がどんどん絶滅し、今、かなり大きいところまでが失われようとしている。
一番難しいのは技術者が生きていくことではない。
その技術が生き続けていくことだ。
残った日本の文化の本物を、作り、見せる機会をたくさん作っていくことが、助成金を出すことなどよりずっと大切だと思う。
それは形ではなく、クオリティなのだ。
文化はなくても腹は減らないし寒くもない。
ただ、それによって自分たちのアイデンテティまで失って、アメリカにかぶれただけのアメリカ人風日本人に成り下がるのはどうなんだろうかと思う。
なによりさみしいのは、それにすら気づかない日本人がたくさんいる事だ。
話しても分かり合えない人に会うとほんとに残念に思う。
我々は今転換期である。
本当に失ってはいけないものとは何か。
自分が生きながら後世に紡いでいくべきものとは何なのか。
そういったことを考えながら、考え直しながら今後を生きていけるようにしたいと思う。
スポンサーサイト


カテゴリ:BLOG | コメント:(0) | トラックバック:(0) | top↑ |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。